≫エッセー
※ここでは、サイト管理者のひとり言を、建築に関わらずご紹介いたします。

■「本の街」神保町
弊社のある神田神保町は、昔から「本の街」「学生の街」「スポーツ店の街」として有名です。中でも本に関しては、新刊書を扱うお店だけでなく古書・古本を専門に扱うお店も軒を連ね、それが神保町を語る上での一つの原風景をつくっています。特に靖国通り沿いには多くの書店がありますが、その多くが大手町側(南側)に面し、店構えが北を向いているのにお気づきでしょうか。これは、商品である大切な本を店頭に並べる上で、本(紙)の大敵である直射日光を避けるための必然な結果だそうです。
紙と言えば、私たちの職業にも紙は十分密接な関係のある話です。今でこそCADが普及し、トレーシングペーパーに直接描くことは少なくなっていますが、同じく自然条件には泣かされることがあります。特に、湿気はやっかいで、湿気を含むと紙がふやけてしまい、そのお陰で昨日描いた図面の寸法が、今日は1mmズレているなんてこともあります。また、最近徐々に少なくなってきた青焼きした図面も、それを直射日光にさらすと変色してしまうこともあり、窓際での扱いには十分注意を払ったものです。
それにしても、自然条件が商品の配置を左右し、それが店の配置計画に影響して街並みを形成するのは、どこか建築的で興味深いものです。私たちの職業である建築するという行為は、単に箱を造るだけでなく、時には商品の売り方までも考慮する必要があるということを、改めて考えさせられます。

■「学生の街」神保町
前回、神保町を「本の街」として取り上げましたが、今回は「学生の街」としての神保町について話してみようと思います。
お茶の水、水道橋を含む神保町界隈は、大学・専門学校を始めとする多くの学校が存在します。様々な企業も多いので、街行く人々はビジネスマンと若い学生たちが混在しています。
学生の中には、手持ちの少ない学生もいるわけでして、古本屋さんの需要も高く、「本の街」として発展してきたのもうなずけます。そうなりますと、学生に対して量が多くておいしいモノを、手頃な価格で提供してくれる飲食店も存在し、それが神保町のもう一つの魅力をつくっています。和洋中エスニック等々、量質共にすべて揃っており、まさに、街全体が学食と言っても過言では無いかもしれません。
そう考えますと、神保町の書店街は図書館、水道橋の後楽園は体育館、中古CD・レコード屋・楽器屋と音楽ホールは音楽室、大学病院は医務室、等々あたかも街全体が一つのキャンパスを形成しているかのようです。
神保町は、かつて自分が学生だった頃を思い出させてくれるような、もしくは学生気分に浸れる、そんな街でもあるかもしれません。



COPYRIGHT (C) 2004 SAKAE-ARCHI ALL RIGHTS RESERVED